前回の続き
承認欲求モンスターが見つけた次の大きな目標
何か資格取得に向けて活動している時はワクワクして一直線に進めるので、小動物外科専門医を持っていないというモヤモヤ感、自信のなさを感じないで生活できる。だから、次々に資格を取得しているのだ。
じゃあ、現在参加しているGPAdvCert(SASTS)が取得出来てしまったら、次はどうしたら良いのだろうか。ある程度の自分の承認欲求を満たせて、今の生活水準を落とさない範囲での努力で取得できる資格がもう無いのである。
そこで、色々調べていくと、イギリスのRCVSという機関のホームページに辿り着いた。RCVSはイギリス国内で外科医として獣医業を行う許可を出す機関である。イギリスには日本でいう獣医師国家試験という統一試験がなく、RCVSの認定する大学を卒業し、RCVSの認定を受ければ獣医師として外科を含んだ獣医業を行うことができる。一見日本より簡単に思えるかもしれないが、それだけ大学のコースがしっかりしていて、簡単には卒業できないということなのだ。
では、外国人がイギリスで働きたい場合はどうしたらよいかという話になる。RCVSは外国人に対して自信の卒業した大学の学習カリキュラムがRCVSの基準を満たしていれば、英語能力に問題なければ資格を与えるよというスタンスだ。ちなみに、この「基準を満たしている」という認証が日本の大学にはほぼ与えられていない。現在認証されているのは、山口大学と宮崎大学の合同獣医学部、帯広畜産大学獣医学部だけであり、しかも、2019年以降のカリキュラムに限るというものである。
承認欲求を余裕で満足できるカッコいい資格が取れるかも
ちょっと話は逸れるが、日本の獣医師免許の力が海外でどれだけ通用するのかという話になる。はっきり言って全く通用しない。例えばアメリカとヨーロッパはそれぞれの獣医師資格の互換性が認められているため、どこに行っても獣医業を行える(色々細かい基準はあるけど、ざっくりと言って)。しかし、日本の獣医師はアメリカやヨーロッパで仕事をするために現地の資格を再取得しなければならない。つまり、日本の獣医学教育の信用がないということだ。
ちょっと待てよと。じゃあアメリカやヨーロッパの獣医師免許の取得って自分の承認欲求を満たせるんじゃないかという話です。ここで俄然やる気が湧いてきて、モヤモヤ感が吹き飛びました。さらに色々検討し、イギリス系の外科認定を持ってるのだから、やっぱりイギリスの獣医師免許が欲しいよねということになった。実際に取得できれば、「BVSc GPAdvCert(SASTS) MRCVS」と名乗ることができる(と思う)。カッコいい。多分今後の獣医師生活の承認欲求全てを満たせると思う。
ちなみにBVScはBachelor of Veterinary Scienceの略で「獣医学の学士」を証明する記述だ。日本の獣医師は卒業した時点で学士の資格を得る。しかし、自分の名前を英語で書くときには日本の獣医師は皆DVMと表記している。DVMはDoctor of Veterinary Medicineの略で、これは「獣医学の博士」を意味する。我々日本の獣医師は学士なのに、何故か博士を名乗っている場合がある。これは昔々にDoctorの意味を博士じゃなくて「お医者さん」と取り違えた我々の先輩達が、アメリカの獣医がDVMと言ってるのだから、我々も英語表記ではDVMじゃないのかと使い始めたのがきっかけで、時が流れすでに収集がつかなくなった頃に農林水産省が「ん~、今から訂正するのも色々面倒だし、そのままで良いでしょ」という乗りで見解を出したので、現在でも続いている。
次回へ続く
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